祖母から継いだオンボロアパート「まほろば荘」の管理人である藍花が遠縁の祖父から継いでしまったのは、極道の跡目だった!?
抗争に巻き込まれてしまった藍花は"家"を守るため戦いを挑む!
祖母から受け継いだオンボロアパートをなんとか存続させたい藍花は、遠縁の祖父の遺言から「次期組長」の跡目候補に任命されてしまう。
アパート存続のため藍花は組長になることを承諾するのだが・・・。
候補の1人である矢野は藍花の登場を面白く思っていない。旧組長派の稲田は藍花たちを擁護しようとするが、それが抗争激化の火種となり潤は負傷してしまう。
潤は藍花やの看病で"普通の幸せ"を噛み締め、ついに潤は藍花に指輪を渡すのだった。
決戦総会に向けて圧力をかけられた事に抗議した潤だったが、矢野は冷徹に辞退しなければ家族を皆殺しだと告げ半殺しにあう。それを脅しに使われたまほろば荘の住人達は怯えるが「家族のため」と藍花率いる住人たちは立ち上がり潤救出へと向かった!
潤は瀕死の中戦い「いつでも家のカギはあいてるから出直してきてくれ」と矢野を諭す。憤慨した矢野は一矢報いようとするが、潤と刺し違えることになってしまった。
しかしときが経ち思いが通じ、取り壊されたまほろば荘の看板は、組事務所の横に立てかけられている。
アパート存続のため藍花は組長になることを承諾するのだが・・・。
祖母から受け継いだボロアパート「まほろば荘」を守る管理人・藍花。
祖母はアパートの住人たちを家族のように思い、住人たちも同様に慕っていた。それは今藍花にも受け継がれている。住人である潤、美帆、晴人はさながら兄弟のようだ。美帆はいつも晴人に趣味がキモいと揶揄している。晴人は竹光を振りかざし「侍こそ至高なのだよわからないかね!」と騒いでいる。潤はヤクザの下っ端の頃からここに住んでいた。日々藍花にアプローチしているが、いなされてる(しかし藍花はまんざらでもないようだ)美帆は家庭が崩壊しふらついているところを祖母に拾われ、晴人はなんとなく住み着いた。いつも路上で文句を言うジジイは・・・よくわからない。いつもしている革手袋が臭くてキモいと美帆はいつも眉間にシワを寄せている。たまたま隣人になった他人だが、本当に家族のようだ。
しかしまほろば荘はボロい。あまりのボロさに、行政から取り壊しの通告まできてしまった。取り壊しの期限まで一ヶ月・・・。この家を守らなければ家族がバラバラになってしまう。
「ここから出てかなきゃいけないの?」
美帆の言葉に、藍花は焦っていた。
しかしそんな矢先、疎遠だった祖父からの遺言が届く。「竜神会をお前に譲る」
「私が組長!?」
一番驚いていたのは、竜神会に所属している潤だった。そんなことを知らなかった潤は困惑したが、藍花は、アパート再建のため組長になることを承諾。「俺が絶対に藍花ちゃんを護るから」と潤は息巻いている。
竜神会の総会が開催された。家の問題だからと、なぜかまほろば荘の住人たちも共に参加する。さながらアウトレイジの中に放り込まれた一般人だった。すんなり藍花が組長になることで合致するかと思ったが、候補者は他に二人いた。分家の長男である矢野と稲田だ。稲田は遠い親戚である藍花を歓迎し、本家がいるなら本家が継ぐべきと竜神会の隆盛を喜んだが、矢野はそうではなかった。矢野は自分が組を継ぎ、その利権を思うままにしたい。そしてこの組には矢野の派閥が多く潜んでいる。
矢野は2週間後の決選投票を提案し、流されるがままにそれが決定した。しかし稲田は豪快に笑い、必ず本家が当主になると藍花たちを送り出した。
潤は藍花やの看病で"普通の幸せ"を噛み締め、ついに潤は藍花に指輪を渡すのだった。
潤はそれ以降、ロビー活動に東奔西走していた。影響力のある面々に頭をさげ、なんとか穏便に藍花を当主にしてくれと頼み込んだ。しかしそれは暖簾に腕押し。効果なく落ち込んでいると稲田から励まされた。「家族のために生きるのは何よりも尊い」潤は昔から稲田に父の背中を感じていた。「女のために戦う男はもっとカッコいいがな!何があっても俺が必ず盾になってやるから安心しろ!」その軽口と豪快さに潤は再びやる気を取り戻す。稲田は矢野だけはカシラにしちゃいけないと添えた。自分のことしか考えないと。潤は決意を新たに歩き出す。
しかし矢野はやはりこれをよく思ってはいない。少しでも芽は潰したいと、奔走する潤を襲撃。重症を負わせてしまう。
家に帰ってきた潤を見た住人たちは驚き必死に看病する。病院に行けば警察沙汰になるからと届け出ず自宅での看病だ。なぜかジジイが適切な処置をし、潤の容態は安定した。
看病の間、藍花はつきっきりだった。その間潤はポツポツと自分の過去を語りだす。
自分の家庭がおかしかったこと、逃げるようにヤクザになったこと。稲田の存在、組の意味。それと同じくらいこのまほろば荘が大事だとも語った。
藍花も同じように話した。両親との死別、祖母、離縁してた祖父、急に来た相続。それでも家は守りたい決意。それくらい潤を、皆を大事に思っていると伝える。
数日後。
潤は歩けるようになった。ふたりは買い物にでかけ、商店街を歩き、家に帰り、鍋を作った。
そこにアパートの面々が帰ってきた。そして全員で鍋をつつく。これこそが家族なんだ。潤はゆっくり流れる時間を噛み締めながらそう思った。
潤は指輪を渡した。藍花は喜び、快諾した。それを聞いていたアパートの面々は大騒ぎだ。幸せの頂点だった。
一方、竜神会の抗争は激化していた。先日の潤を急襲した件で旧組長派である稲田一派と矢野一派の抗争が激化してしまったのだ。血で血を洗う争いはとまることなく、ついに矢野が勝利してしまう。稲田は苦虫を噛み潰し自身の一派を救うため地下に潜った。
潤はその知らせを聞き苦しむ。自分が寝ている間にまさかこんなことになるなんて。
それを脅しに使われたまほろば荘の住人達は怯えるが「家族のため」と藍花率いる住人たちは立ち上がり潤救出へと向かった!
決選総会まであと3日と迫った日。
仕事から帰宅しようとした美帆は突如何者かに襲われてしまう。たまたまそこを通った晴人が機転を利かせ助けることに成功。しかしさらに家には工作員が現れ、アパートの支柱や外壁を破壊されてしまった!ただでさえオンボロのアパートが住むのも危うい状態になってしまった。その犯人を拘束し動けなくしていたのはジジイだった。ジジイが腕を締めると痛がりながら「矢野の指示だ」と白状する。
潤は激怒し、矢野のもとへ抗議に向かう。しかし矢野はどこ吹く風で藍花に辞退を要求してきた。
辞退しなければ、まほろば荘は守れない。しかし竜神会のためには、矢野を組長にするわけにはいかない。どうすれば・・・!これしかないと思い至った潤は、腹をくくり、ドスを手に取る。「これで勘弁してください」指を詰める覚悟を告げるが、しかし矢野は冷徹に言う。「家だなんだってさ、どうでもいいんだよそんなこと。金だよ金。指で金稼げんのか?指で済む話じゃねえんだよ。辞退状もってこい。じゃなきゃお前の"家族"ひとりずつ、皆殺しだ」
どうしていいかわからず、潤はうつむき顔をあげることができなかった。
その日、まほろば荘に小包か届いた。血のついた指輪と、腕時計。それは明らかに潤のものだった。そこには手紙も添えられていた。「辞退状にサインしろ。それで手打ちだ」
住人たちは恐怖から心が離れてしまう。「結局他人だろ!関係ないじゃないか!」そう言った晴人に藍花は手を振りかざしたが、しかしそこで思いとどまってしまう。たしかにそうなのだ。他人なのだ。それでも、そうだとしても。
「私は、家族だと思ってるよ」
その一言に、美帆が呼応する。そしてジジイも前のめりだ。晴人は最後まで悩む。ジジイはそれでもいいと声をかけた。「ひとりで生きれりゃそれでいいんだよ。でもな、みんなで生きたほうが楽しいって思っちまうやつもいるんだよ」
藍花は近くにあったフライパンを手に取り、家を出て事務所へと向かった!
事務所に着くと、事務所は臨戦態勢だ。藍花は美帆に指示し、すかさずブレーカーを落とす!ブレーカーが落ちると、中では構成員たちが慌てふためいてる。「普段家事してないから・・・ブレーカーの位置くらいわかっとけ!」その隙に藍花、美帆、ジジイは中へ潜入!この先だというジジイ。なんで知ってるの?!いいから早く!先に進もうとすると、思った以上に早くブレーカーが上がってしまった!侵入者だとわかるやいなや構成員たちが突っ込んでくる!美帆が機転を利かせ消化器をぶちまいた!「先に行って!」
奥に進むとどこからともなく構成員たちが現れる!ここまでか・・・!構成員たちの拳が振りかざされた刹那!一閃の光が!「我が名は皇総司。恩義あって助太刀いたす」ジジイは藍花を先にいかせる。「いけ!この先だ!」藍花は駆け出した!「我が一心流の剣技、見よ!」晴人は竹光(竹でできた模擬刀)を振りかざし駆け出した!
しかしやっぱり多勢に無勢。ふたりとも持つわけがなくあっさりとやられて構成員だらけになってしまう。背中合わせで恐怖する美帆と晴人。するとジジイが前に出た。「お前らかっこよかったぜ、家族のために戦って」革手袋をつけ直すと、どこからともなく声がする。「あ!あいつは!掃除屋ジンベエ!」「あの元軍医で、関東の抗争をたったひとりでおさめたっていう伝説の!」「最強の殺し屋だ!」全員が一歩引くと、指をたてふたりの"孫"にいう。「内緒だぞ?」
憤慨した矢野は一矢報いようとするが、潤と刺し違えることになってしまった。
しかしときが経ち思いが通じ、取り壊されたまほろば荘の看板は、組事務所の横に立てかけられている。
全員の思いを背負ってついに最深部まで来た藍花。そこにいたのは、矢野とボロボロの潤だ。「潤さん!!」矢野は笑っている。辞退状を出した藍花は・・・それを破り捨てた!「あんたみたいな外道に、旦那の職場、預けられるわけねえだろうが!」矢野は立ち上がり威圧する。間に入って立ちはだかったのは、潤だ。潤が瀕死の状態で矢野と戦う。しかし身体が思ったように動かない。矢野はそれでも攻撃を続けた。しかし潤は語り続ける。
「あんたらはいいよなあちゃんと血のつながった家族がいてよお・・・でもよお、あんたみてえな人は一家の主になるのは向いてねえんだよ、あんたには向いてる場所がある。だからあんたが辞退しろよ・・・別に締め出しはしねえよ、ちゃんとカギは開けといてやるから」
言われた矢野は激昂し、そしてついにドスを手に潤を刺す!!・・・かに思えたが、そこに現れたのは、稲田だ!!「お前の盾になるっていったろ」稲田は倒れた。
「稲田さん!!!」
潤は奮起し立ち上がり、落としたドスを拾い刺し違える!
矢野と潤は同時に倒れた。ジジイが上がってきた。処置をする中、遠くでサイレンの音が聞こえている。潤の意識は遠のく。最後に見えたのは、愛する人たちの顔だった。
3ヶ月後。
買い物をして帰って来る藍花。商店街の電気屋のテレビでまだ抗争を取り上げていた。自分たちがあの中にいたなんて、と現実味もない。
帰路につく。いつもの景色の先にまほろば荘は・・・もうない。取り壊されていた。藍花はまほろば荘を過ぎ、まだ歩く。そして歩いた先の、組事務所の看板の横には、「まほろば荘」の表札が!
中から包帯を巻いた潤が出てくる「おう、おかえり」
住人たちが組事務所の中からあらわれ、その奥からは稲田派の構成員たちも現れた!「おかえりなさい!」
藍花は嬉しそうに答える。
「ただいま!」